糖醋肉
táng cù ròu
黒酢酢豚
「糖醋」は甘酢あん、「肉」は豚肉
「咕嚕肉」と別にエントリを立てたが、スタンダードな酢
豚のことを「糖醋肉」(あるいは「糖醋肉塊」)と呼んでいるケースはいくらでもある。一方、黒酢を使
うバージョンを
「咕嚕肉」と呼ぶことはないようだ。ということで、現時点での私の結論は、
「咕嚕肉」は日本によくあるケチャップ・ベースの酢豚で、 「糖醋肉」はそれを含めた広義の酢豚であり、ケチャップのかわりに黒酢を
使って甘みを出しているものを含む。
ところで上の写真は「永利」の有名な「「糖醋肉」である。これの日本語での説明は「ゴロゴロげんこつ豚肉の酢豚」となっている。これは見てのとおり、黒酢
を使った味付けで、
「咕嚕肉」のように色とりどりの野菜も入っていない、北京風の酢豚である、と思いきや、この店のこの料理は実は豚肉を油で揚げておらず、ブロックをそのま
ま煮込んでいるのである。
世の中で「北京風の酢豚」を出している店で、この「永利」のように揚げていない酢豚を出している店を私は知らないので、これがどれほど一般的なことなのか
がわからない。やはり池袋でけっこう前からやっていて、東北料理ではなく北京料理を標榜している「蘭蘭」の酢豚は、ここまでではなかったがやはり大きいブ
ロックを使って、揚げていた。あるいは一度煮てから、外側を焼いたのかもしれないが、要するにブロックの外側が固くなっていて、それがちょっとコゲくさ
かった。
この「永利」の酢豚は表面が固くなっておらず、ナイフがすっと通るし、箸でほぐすことも可能なぐらいの柔らかさである。これを「酢豚」と呼んでいいのかど
うかわからないが、まあ豚に酢がかかっているという意味では間違いなく酢豚ではある。この料理は「醤大骨」とあわせて、池袋の「永利」を有名にした名物の1つで
ある。どちらも味の好き嫌いはあるだろうが、初めて見たときのインパクトはすごい。ああ、ここまで飾らずに料理を出してもいいんだな、という感じ。